本部会で行った出張授業が報道されました (2018.09.21)

「違うところもその人の一部」/性差別撤廃部会が東京朝高で出張授業

「多様な性」について学ぶ

「セクシュアル・マイノリティは何人に1人いると思いますか?」

11日、東京朝高で行われた在日本朝鮮人人権協会・性差別撤廃部会(以下、部会)による人権教育出張授業。部会の李イスルさん(28)が生徒たちに尋ねた。

「答えは20人に1人。1クラスに1人はいることになりますね」

「このアライグマは男、女どちらだと思う?」と問いかける李イスルさん

今回の授業のテーマは「多様性について考えてみよう」。「レズビアン(女性同性愛者)」、「ゲイ(男性同性愛者)」、両性を性愛の対象とする「バイセクシュアル」、こころと体の性が一致しない「トランスジェンダー」の他、様々な性自認、性的指向を持つ人たちや、多様な性に関する授業が行われた。

「朝高生たちは、『高校無償化』制度から今も除外されていますよね」と李イスルさん。授業では、「民族」を理由とした差別に苦しむ朝鮮学校の生徒たちのように、LGBTのようなセクシュアル・マイノリティは「性」を理由とした差別に苦しんでいることが話された。

人の外見だけを見て性別を判断することはできないことや、「男性らしさ」「女性らしさ」が要求されてしまう問題についても言及。「男だって泣きたい時もあるし、家事は女がしなくてはいけないわけではない。狭い枠に囚われず、その人の個性を大事にしよう」と語りかけた。

最後に「外国人、セクシュアル・マイノリティ、障害者、高齢者、子ども、みんながその人らしく生きられ、『多様性』が認められる社会こそが、仲睦まじく豊かで力強い社会」だと述べ、そのような社会を目指し、お互いを尊重しようと呼びかけた。

授業前に行われたアンケートでは、ほとんどの生徒が「セクシュアル・マイノリティ」について「聞いたことがない」もしくは「聞いたことはあるが具体的には知らない」と答えたが、授業後のアンケートでは多くが「多様な性のあり方について知ることができた」と答え、理解を深めていた。

授業を終えた李イスルさんは「(授業で流された多様な性に関する)映像を見ていた生徒たちの真剣な目が印象的だった」と話し、「民族差別について語る私たちが、『一方の足で違う人の足を踏んでいないか』ということまで考えてくれたならとても嬉しい」と述べた。

相手の立場で考える

今年の2月21日、同校高級部3年生(当時)を対象に行われた授業「デートDVについて考えてみよう」に続き、2回目となった今回の出張授業。部会の5人が性の多様性を解説したが、対象となった高級部2年生たちの反応は様々だった。

「こんなに細かく分けられるとは知らなかった」と性の多様さに驚いていたのは朴七輝さん。授業を通じ「20人に1人ということは、自分たちのクラスにもいるかもしれない。でも学校では聞いたことがない。本人もまだ気づいていないか、カミングアウトした時の周りの反応が怖いからかもしれない」と考えを馳せ、「他人とのコミュニケーションに対し考えるところがあった」と語った。

多様な性について学ぶ生徒たち

一方で「最近テレビとかで見るから、珍しい話題だとは思わなかった」と文希瑛さん。しかし、身近なことであるが故にこれまで問題について「単純に考えすぎていた」と顧み、「テレビでは明るいキャラクターでも、過去にいろんな悩みがあったかもしれないと知った。今までみたいに単純に考えず、もっと深く考えることが大事だと感じた」と話した。

またある男子生徒は「授業を聞くまでは、セクシュアル・マイノリティに対し変な感情を持っていた」と率直な気持ちを述べながら、「自分とは違うところもその人の一部、と聞いて、本当にそうだと感じた。差別的な言葉を使うことはいけないことだと感じた」。

しかし中には、「『おかま』とか冗談で言ってあげた方が楽な人もいるかもしれないし、言ってあげることでカミングアウトする良いきっかけになるのでは」との声も。これに対し部会の朴金優綺さんは「言われた相手はもっと傷つくだけで、たとえその人がセクシュアル・マイノリティであったとしても、そのような発言をする人を信頼できないし、カミングアウトすることはできないのではないか。また相手がセクシュアル・マイノリティでなかったとしても、そのような差別用語で傷つく人が多いだろう」とし、「何よりも相手の気持ち、立場で考えることが大事」だと話した。

授業後のアンケートでは「(多様な性に対する)接し方を考えたい」「自分らしく生きるのが一番大事だと思った」「ちゃんとした知識を持ってどんな差別もしないようにしたい」など、それぞれに考えを深める生徒の姿がうかがえた。

朴金優綺さんは「授業を通じ、問題について身近に感じてもらえたのではないか。より豊かな在日朝鮮人社会を作るため、多様な性について考える第一歩にしてくれたら嬉しい」と語った。

部会では今後、関東だけでなく全国の学校で様々な内容の出張授業を行い、各学校での人権教育に尽力したいとしている。(出張授業を希望する学校は部会のウェブサイトから。http://dareiki.org/

(金孝俊)