【報道】5回目の4.23アクション/人権協会性差別撤廃部会が主催 (4/26)

引用元はこちら:朝鮮新報

5回目の4.23アクション/人権協会性差別撤廃部会が主催

性奴隷制問題と統一を考える

在日本朝鮮人人権協会傘下の性差別撤廃部会が主催する4.23アクション「朝鮮民主主義人民共和国における日本軍性奴隷制問題~朝鮮半島の分断を超えて」が23日、東京・武蔵野で開催された。同胞、日本市民ら約120人が参加した。同部会では、朝鮮人として初めて自らの日本軍性奴隷制による被害を明かした裵奉奇さんの証言が本紙に掲載された4月23日(1977年)に際して、裵奉奇さんの存在と、日本軍性奴隷制の被害を受けたすべての人びとを記憶していくため日本軍性奴隷制問題について考えるアクションを行っている。今年で5回目。

朝鮮の現地調査を通じて

アクションでは、被害者の存在が不可視化され続けている朝鮮で、長期にわたり「慰安所」研究を行ってきたルポライターの金栄さんが登壇。「植民地遊郭から慰安所へ―現地調査から見えてきたこと―」と題して講演を行った。

金栄さんが「植民地遊郭から慰安所へ―現地調査から見えてきたこと―」と題して講演を行った。

金栄さんはまず、朝鮮における日本軍性奴隷制被害者の内、申告者が219人、そのうち公開証言者が52人(公式発表は45人)であることについて言及。朝鮮国内で性奴隷制問題が継続的に報じられたのは、労働新聞が92年1月に、日本軍が性奴隷制度に直接関与したことを示す史料である「軍慰安所従業婦募集に関する件」が発見されたことを日本の報道を引用する形で報じた記事がきっかけだと紹介した。

また、朝鮮国内で報道が続き、性奴隷制被害が「軍と政府が関与した国家犯罪である」という認識が広まったことで、目撃証言が寄せられ、被害調査団体が結成されたことについて説明。公開証言を行った被害者に対して、配給の優先や医療の優遇などの国家的措置がとられたことにも言及した。

金さんは、03年から5回にわたり行った、植民地期に19師団が管轄していた芳津、羅南、会寧、咸興などの軍基地があった地域のほか、朝鮮北部の「慰安所」調査の結果を公表。国境守備隊が駐屯していた慶興(現・元汀洞)でも昨年、「慰安所」の存在が明らかになったと指摘した。

金さんは、「慰安婦」は「売春婦」であり被害者ではないなどと主張する否定勢力の言動があるが、同地の事例は日露戦争当時から軍の移動とともに日本式の公娼制度が朝鮮半島に本格的に展開しはじめ、「慰安所」の原型となったことを物語ると語った。戦時総動員体制(38年~)では「遊廓」は実質的な「慰安所」として機能したことについて触れ、日本軍性奴隷制度と公娼制度をその連続性の中でとらえ、両者が同じ性奴隷制度であると捉えなおす必要性を強調した。

また、被害者への聞き取り調査を通じて性奴隷制被害者が深刻なPTSD(心的外傷ストレス)を患っていることに言及し、被害者個人のトラウマは、朝鮮人として、女性として怒りや痛みを共有する中で、集合的なトラウマへと広がると指摘。被害者に共感して証言の場を提供することや、性奴隷制問題を広く社会問題化させることが問題の根本的な解決につながると強調した。

統一旗を作成


性奴隷問題の克服と統一への思いをこめた統一旗が披露された

アクションでは、特別企画として、性奴隷制問題の克服と朝鮮半島の平和統一を願う大型の統一旗が披露された。

同部会では、朝鮮半島における脱・分断の機運を反映し、アクションにさらなる関心を集めようと統一旗の製作を企画。2カ月の間、SNSを通じ、性奴隷制問題の克服と統一を願うメッセージを書いた蝶々型の折り紙を募集したところ、日本各地の朝鮮学校の生徒や同胞、日本市民から賛同のメッセージが寄せられた。ハワイ、ソウル、平壌からも蝶々が届くなど、その数は計2,567枚に達した。

性奴隷問題の克服と統一への思いをこめたメッセージが各地から寄せられた

アクションでは、企画に賛同した人々や蝶々に書かれたメッセージを紹介するダイジェスト映像も上映された。

アクションに参加した李美怜さん(朝大3年)は、「部会の活動を知る過程で、私たちが在日朝鮮人としての人権を求める一方で、性的マイノリティーの権利など、身の回りにある差別を内在化していないかと考えるようになった」とし、「日本社会の差別やレイシズムの根本には、植民地支配下で複合的な差別により起こった性奴隷制問題がある。しっかりと理解し、発信していきたい」と語った。

沖縄の占領史を研究している秋山道宏さん(36)は、沖縄での性奴隷制被害者である裵奉奇さんの存在を知り、4.23アクションへの興味を持ったと話す。秋山さんは、「戦争の痛みやトラウマの拡散は、性奴隷制問題にも沖縄戦被害者にも共通するもの」としながら「戦争の記憶の欠如は再暴力を生むという意識を持ち、侵略戦争を肯定する勢力に対抗し、わい曲された歴史を一つ一つ修復していくことが大事だ」と語った。

統一旗の前で記念撮影をする参加者

主催者である人権協会事務局の朴金優綺さんは、今回のアクションに広範な同胞、日本市民が関心を寄せてくれたとしながら「多くの人が裵奉奇ハルモニを思い、性奴隷制問題を考えてくれたことが嬉しい」と話した。そして、性や民族、階級などの複合的な差別の究極にある日本軍性奴隷制問題を部会の重要なテーマとしながら、「さまざまな企画を通して、性や民族、障害などにもとづく、ひとつではない差別や暴力の形について学び、考えを深めていければ」と語った。

(金宥羅)