本部会の4.23オンラインアクションが報道されました(4/23)

“朝鮮人として生きた証、実感伝えたい”/裴奉奇さんとの思い出、インタビュー映像で

 

性差別撤廃部会の4.23アクション

 

在日本朝鮮人人権協会の性差別撤廃部会が4月23日、日本軍性奴隷制被害者の裴奉奇さん(1991年死去)と共に過ごした金賢玉さん(77、元総聯沖縄県本部活動家)のインタビュー映像をオンライン公開した。現在の沖縄を舞台に、金さんがゆかりの地を訪ねながら裴さんとの思い出を肉声で語る貴重な証言映像となっている。

裴奉奇さんの自宅跡地で思い出を語る金賢玉さん(「ゆかりの地訪問編」より)

「沖縄の総聯活動家として裴奉奇さんに出会って」と題した映像は、同部会が2015年から毎年開催してきた4・23アクションの6周年を記念し、新たに撮影・編集したもの。同部会では、沖縄で日本軍の性奴隷を強いられた裴奉奇さんの証言が本紙に初めて掲載された4月23日(77年)に際して、裴さんの存在とすべての性奴隷被害者を記憶するための様々な試みを行ってきた。学術交流、映画上映会や芝居、北南・海外をつなぐ統一旗の制作などといった多彩なアプローチで、在日同胞社会はもとより日本社会に向けて日本軍性奴隷制問題の再考を促してきた。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初予定した集会を延期し、集会のために制作した新映像のみをオンライン公開した。

新映像は「証言編」「ゆかりの地訪問編」(それぞれ約12分)の2本立てで、「証言編」では、金賢玉さんが裴さんとどのように出会い、共に過ごしたのか、またその中で聞いた裴さんの天皇裕仁や朝鮮半島への思いについて聞くことができる。

「ゆかりの地訪問編」では、金さんが生前に裴さんが住んでいた家の跡地などを訪ねながら、裴さんと一緒にドライブをしたりソーキそばを食べたりした思い出や、いま次世代に伝えたい思いなどについて語っている。

語り部の金賢玉さんは、72年の沖縄の「本土復帰」直後に、夫である金洙燮さん(19年死去)と共に総聯沖縄県本部の活動家として沖縄に渡り、在沖朝鮮人の権利擁護運動に取り組んできた。75年に裴奉奇さんと出会った後、16年にわたって夫と共に裴さんに寄り添い続けた。インタビュー映像では、裴さんの痛みや願い、裴さんと金さん夫婦の血の通った交流、心温まるエピソードと共に、「戦友、親友、同志」(金さん)として共に生き、昨年帰らぬ人となった夫への思いも語られている。

インタビュー映像を制作するにあたり、中心メンバーから成る運営委員らは3月、金賢玉さんを直接訪ねるため沖縄へ赴いた。裴奉奇さんの自宅や総聯沖縄県本部の跡地、沖縄戦時に日本軍によって朝鮮半島から強制連行された軍夫や「慰安婦」らを慰霊する「恨之碑」など朝鮮人にゆかりのある場所へのフィールドワークを実施し、沖縄における朝鮮人の歴史をたどった。亡くなった金洙燮さんが安置されている寺院も訪ね、遺影に手を合わせた。

金さんへのインタビューを行う部会運営委員ら。読谷村の「恨之碑」の前で(性差別撤廃部会提供)

運営委員の李イスルさん(29)は、「金賢玉さんから直接話を伺い、裴奉奇さんが生きた実感や、共に過ごす過程で築いてきた裴さんと金さん夫妻3人の絆に触れた気がした。出会った頃、裴さんに何度追い払われてもしつこく会いに行ったというエピソードがあるように、性奴隷被害者としてだけでなく一人の同胞として裴さんと向き合ってきた金さんの総聯活動家としての姿勢、その生き様に最も胸を打たれた」と話す。

「私たち自身が沖縄における朝鮮人の歴史にもっと目を向けるべきだ」と話す李さん。自身も4.23アクションに関わるまで沖縄に総聯本部が存在した事実を知らなかったという。

裴奉奇さんは、日本軍の性奴隷として朝鮮半島から沖縄に連行され、植民地支配下のみならず米占領下の沖縄であらゆる辛酸をなめた。家父長制や冷戦構造の中、日本軍性奴隷制の被害女性たちのほとんどがその被害を公に口外できなかった時代に自らの被害を告発したにも関わらず、朝鮮半島の分断や不正常な朝・日関係の中でその存在は長らく不可視化されてきた。裴さんの尊厳回復に努めたのが金さん夫妻だった。

インタビュー映像では、裴さんが統一への確信を胸に、希望のうちに亡くなったというエピソードが紹介されている。そして、裴さんの願いと折り重なるように、金さん自身の願い―代を継いで祖国統一、関係国との改善に努めてほしいという次世代への思いが語られる。そのことが、日本軍性奴隷制問題が現在に連なる問題であることを示唆している。

「裴さんが抱いた分断に対する痛みや、未だ真の解放を迎えられていない朝鮮民族の悲しみといった現在も続く歴史の中に私たちは生きている。そのことをしっかりと胸に刻んでいきたい。より多くの人に裴さんと金さんの存在を知ってほしい」(李さん)

映像公開は5月6日までの期間限定で、同部会のYouTubeチャンネル上で視聴することができる。

(金淑美)

 

「沖縄の総聯活動家として裴奉奇さんに出会って」

【ゆかりの地訪問編】 https://www.youtube.com/watch?v=t89kql6HaMM&feature=youtu.be

【証言編】 https://www.youtube.com/watch?v=7dEFkXSl_hs&feature=youtu.be

 

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